13世紀初頭、「人に降りかかるもの;状況」という意味で使われ始めました。これは古フランス語の cas、「出来事、事象、状況、争い、試練」といった意味から来ており、さらに遡るとラテン語の casus、「偶然、機会、運命;事故、災難」、直訳すると「落ちること」から派生しています。この「落ちる」は、ラテン語の cas-(cadere「落ちる、沈む、降りかかる、滅びる」の過去分詞語幹)に由来し、空の天体の沈み、トロイの滅亡、自殺など、さまざまな場面で広く使われていました。さらに遡ると、インド・ヨーロッパ祖語の *kad-「落ちる」という語根にたどり着きます。
この言葉の基本的なイメージは「落ちるもの=起こるもの」(befallを参照)。一般的な性質を持つことから、さまざまな意味へと広がっていきました。「事例や例」という意味は1300年頃から。「実際の状況」を指すようになったのは1400年頃です。法律用語として「訴訟の一例」という意味が使われ始めたのは14世紀後半。医学では「病気の一例」を指すようになったのも同じく14世紀後半です。
文法的な意味「名詞の屈折形の一つ」という使い方もラテン語から来ており、ギリシャ語の ptōsis(「屈折、変化形」、直訳すると「落ちること」)を訳したものです。「主格単数の名詞や、現在の直説法の動詞は、まっすぐ立っていると考えられます。それが falls(落ちる)、または is bent(曲がる)、あるいは declines(変化する)というように、さまざまな形に変わっていくのです」とギルバート・マーレイは語っています(「ギリシャ研究」より)。
アメリカのスラングで「人」を指す意味(特に何らかの特異性や注目すべき点を持つ人)は1848年から。警察の調査を必要とする「事件や一連の出来事」という意味は1838年から使われています。In case(「もし~の場合に」は14世紀中頃から記録されています。Case-history(「症例歴」)は1879年から、当初は医学用語として使われていました。case-study(「事例研究」)は1879年から、元々は法律用語として。case-law(「判例法」)は1861年から、「過去の裁判例によって確立された法」という意味で使われ始めました。